磁粉探傷試験の試験方法
磁粉探傷試験とは、試験体を磁化することによって、表面または表面近傍にあるきずの有無を確認する手法です。鉄などの強磁性体に最適な検査で、短い時間できずの検出をすることが可能です。
試験対象
- 強磁性体
使用する製品
- 探傷剤
- 磁化器
- ブラックライト
磁粉浸透探傷試験の特徴
feature
鉄などの強磁性体に適用可能な試験方法
feature
試験体を磁化して検査液の適用をすることで、すぐに検査結果の確認が可能
feature
試験体の形状や検出したいきずの方向などに応じて、磁化方法を選定する必要がある
探傷フロー
磁粉探傷試験は、一般的に以下の手順で試験を実施します。
①前処理
②磁化※
③漏洩磁束の発生
④磁粉の適用
⑤観察
※一般的に、磁粉探傷装置やハンドマグナを使用して磁化をします。
製品ラインナップ(磁粉探傷剤 スーパーチェック/エコチェック)


磁粉探傷試験で使用する製品は用途や材質に合わせて下記の3つのタイプからお選びいただけます。
蛍光磁粉濃縮液タイプ(一液タイプ)の製品一覧
製品名 | 蛍光色 | 粒度 (㎛)※2 | 適合規格※1 | 用途 |
---|---|---|---|---|
エコマグナ LY-10 Conc. | 緑黄色 | 10~15 | AMS3044 SAE AS4792 | 水分散専用、高輝度、一般汎用品 |
エコマグナ LY-20 Conc. | 緑黄色 | 12~20 | 水分散専用、超高輝度、鉄鋼素材精密検査用 | |
エコマグナ LY-30 Conc. | 緑黄色 | 4.5~6.5 | 水分散専用、超精密検査用、磨き丸棒等 | |
エコマグナ LY-40 Conc. | 緑黄色 | 8~15 | 水分散専用、一般汎用品 |
※1 LY-Conc.はAMS3044に適合した磁粉、SAE AS4792に適合した分散剤を使用しています。ASTM E1444/E1444M, ASTM E709に準拠した検査が可能です。
※2 粒度(μm):レーザー回折/散乱式(体積基準)
粉体タイプのラインナップ
蛍光磁粉/非蛍光磁粉
製品名 | 蛍光係数(cd/W)※1 | 粒度 (㎛)※2 | 適合規格※1 | 用途 |
---|---|---|---|---|
スーパーマグナ LY-10 | 7.6±10% | 10~15 | AMS3044 | 水分散専用、高輝度、一般汎用品 |
スーパーマグナ LY-20. | 10.1±10% | 12~20 | 水分散専用、超高輝度、鉄鋼素材精密検査用 | |
スーパーマグナ LY-30 | 4.9±10% | 4.5~6.5 | 水分散専用、超精密検査用、航空機、磨き丸棒等 | |
スーパーマグナ LY-40 |
| 8~15 | 水分散専用、一般汎用品 | |
スーパーマグナ LY-50 | 4.7±10% | 10~15 | 油分散専用、一般汎用品 | |
スーパーマグナ WD-55 | – | – | AMS3040 | 白色磁粉、乾式用、一般汎用品 |
スーパーマグナ WD-104 | – | – | – | 白色磁粉、乾式用、一般汎用品 |
スーパーマグナ BW-334 | – | – | – | 黒色磁粉、湿式用、一般汎用品 |
※1 蛍光係数(cd/W)による評価 蛍光係数=輝度/紫外線強度
※2 粒度(μm):レーザー回折/散乱式(体積基準)
※3 ASTM E1444/E1444M, ASTM E709に準拠した検査が可能です。
磁粉分散剤・防錆剤・消泡剤
製品名 | 推奨濃度 | 特徴 |
---|---|---|
スーパーマグナ BC-1S | 0.1 ~ 0.2% | 少量の添加で効果を発揮、分散性・消泡性を磁粉液に与えます。 |
スーパーマグナBC-700 | 11.0 ~ 2.0% | 探傷後に塗装する場合に最適です。 |
エコマグナ EC-4 | 0.5% | 人と環境にやさしく、磁粉の分散性・ぬれ性に優れています。SAE AS4792適合品。 |
スーパーマグナ SO-220B | – | 高い引火点で低臭気、非蛍光。高粘度で平滑の検査面向き。AMS2641適合品。 |
スーパーマグナ SO-220C | – | 高い引火点で低臭気、非蛍光。低粘度で粗い検査面向き。AMS2641適合品。 |
スーパーキープ AR-100K | 1.0 ~ 5.0% | 磁粉液に一時的な防錆性を与えます。 |
スーパーマグナ 71A | 0.1 ~ 0.2% | 磁粉液に発生する泡を抑えます。 |
エアゾールタイプ
オイルベース
検査物に対する錆の心配がありません。 分散媒は低毒性・無臭で、快適な検査環境が得られます。
速乾性
磁粉液散布後、直ちに乾燥し、磁粉模様の転写が容易に行えます。 速乾性のため、上向きに噴霧したときに液だれの心配がありません。
ウォーターベース
分散媒に精製水を使用し、不快な臭気はありません。 分散媒は消防法に該当せず、安全性がより高くなっています。
オイルベース | 速乾性 | ウォーターベース | |
---|---|---|---|
使用充填ガス | LPG | LPG | DME/CO2 |
主要分散媒・引火点(原液) | 炭化水素系溶剤・95℃ | 炭化水素系溶剤・-4℃ | 精製水・非危険物 ※2 |
磁粉濃度 | 2.0g /ℓ | 1.5g /ℓ | 0.75g /ℓ |
内容量 | 290g | 280g | 420g |
蛍光係数(cd/W) ※1 | 4.7±10% | 4.7±10% | 7.6±10% |
粒度 | レーザー回折/散乱式測定法による(体積基準) 10~15μm |
※1 蛍光係数(cd/W)による評価 蛍光係数=輝度/紫外線強度
※2 原液は非危険物ですが、本製品はエアゾールのため輸送上は危険物となります。
各製品の使用方法
蛍光磁粉濃縮液タイプの使用方法(磁粉液の作り方)
- STEP
100Lの水に濃縮磁粉液を500mL入れます。
- STEP
かくはんをすることで、均一な磁粉液(濃度:1.0g/L)に調製できます。
- STEP
5~10分後、磁粉液の縣濁を確認し、検査を開始してください。
粉体タイプの使用方法(磁粉液の作り方)
- STEP
必要な磁粉と分散剤の投入量を計算し、容量に量り取ります。
- STEP
磁粉に分散剤を少量ずつ入れながらよく練ってペースト状に します。
- STEP
タンクにペースト状にした磁粉を
投入し、かくはんします。
- STEP
5~10分後、磁粉液の縣濁を確認し、検査を開始してください。
エアゾールタイプの使用方法
- STEP
使用する前にエアゾールをよく振って、 容器内の磁粉液をかくはんさせます。
- STEP
探傷したい箇所に吹きかけて、検査を開始してください。
製品詳細
- 蛍光磁粉
- 非蛍光磁粉
- 水溶性磁粉分散剤
- 磁粉分散油
- 水溶性防錆剤
- 水溶性消泡剤
スーパーマグナ
磁粉探傷剤のスタンダード。 さまざまな種類の製品を ラインナップし、用途にあった 最適なご提案が可能です。
磁粉探傷装置
量産品などの大量に検査する場合は、磁粉探傷装置を導入することが一般的です。強磁性体(鉄など)の鋳造品・鍛造品や鉄鋼メーカー様で製造されているビレットなどを対象として、搬送も含めた磁粉探傷装置をご提案することが可能です。
関連製品
ブラックライト・紫外線強度計
当社のブラックライト(紫外線探傷灯)は、365nmを中心とした紫外線(UV-A)を照射し、探傷試験に最適な条件で設計・製作されています。幅広い用途に対応可能です。
磁粉液評価装置
検査液の管理で用いられる沈殿計は、磁粉とスケールの区別することができない、油分などが検査液に混入した際の検査液の劣化を評価できないなどの課題があります。これらの課題に対して、「検出レベル」として数値化して検査液の管理ができる磁粉液評価装置を開発しました。トライアル可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
沈殿計
探傷装置内のタンクに検査液を投入して使用しつづけると、磁粉が試験体に持ち去られて磁粉の濃度が経過します。タンク内の検査液を沈殿計でサンプリング、一定時間放置し、磁粉の沈殿量から磁粉濃度を計測するために用いられます。
浸透探傷試験の試験片
探傷剤を選定する際の性能比較、使用中の探傷剤の性能点検(新液と使用中の液を比較)などの用途で使用されます。
ハンドマグナ
極間型の携帯磁化器を一般的に「ハンドマグナ」と呼びます。屋外での検査や大型の試験体などで、多く使用されます。ヨークを取り付けることで平面以外のコーナー部なども探傷することが可能です。据え付けの探傷装置よりも安価のため、導入しやすい磁化器になります。
製品コラム
磁粉探傷試験の製品情報は
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