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What is NDT / Marking

磁粉探傷試験の原理

MTまたはMPT(Magnetic Particle Testing)と呼ばれ、鉄鋼など強磁性材料の表面近傍のきずを検出するのに適した探傷試験方法です。試験体を磁化した場合、表面及び表面直下の比較的浅い部分(表面から約2~3mm程度)にきずなどの磁気的な不連続があると、その部分から磁束が漏洩し(漏洩磁束という)不連続部との境界に磁極が生じます。試験体表面に磁粉(磁性粉に顔料または蛍光体を付着したもの)を散布すると磁粉は漏洩磁界によって磁化され、微小磁石となりきず部分の磁極に付着します。きず部分に付着した磁粉によって、実際のきずの幅に比較し、数倍から数十倍の幅のきずによる磁粉模様ができ、容易に目視観察できずが検出できるようになります。

磁粉探傷試験法

磁粉探傷試験の手順は前処理、磁化、磁粉の適用、観察及び後処理からなっています。

前処理→磁化→磁粉の適用→観察→後処理

以下にそれぞれの作業内容の概要を述べます。

(1)前処理
探探傷面に油脂・塗料・錆・その他異物が付着していると、磁粉がきずに吸着するのを妨げるばかりでなく、疑似模様と呼ばれるきず部以外へ磁粉が付着して形成される磁粉模様の発生原因となる場合があります。そこで磁化を行う前に機械的または化学的な処理法によってこれらの汚れや異物を取り除く工程をいいます。

(2)磁化
試験体を適正に磁化することが重要であります。通常、きずの方向と磁束の方向が直交するように磁化を行います。また、試験体の形状によっても適正な磁化を行うための種々の工夫がなされています。日本工業規格(JIS G 0565―1992)では以下の7つの磁化方法が規定されています。

  1. 軸通電法……試験体の軸方向に直接電流を流す。
  2. 直角通電法……試験体の軸に対して直角な方向に直接電流を流す。
  3. プロッド法……試験体の局部に2個の電極(これをプロッドと呼ぶ)を当てて電流を流す。
  4. 電流貫通法……試験体の穴などに通した導体に電流を流す。
  5. コイル法……試験体をコイルの中に入れ、コイルに電流を流す。
  6. 極間法……試験体又は試験される部位を電磁石又は永久磁石の磁極間に置く。
  7. 磁束貫通法……試験体の穴などに通した強磁性体に交流磁束を与えることによって、試験体に誘導電流を流す。

(3)磁粉の適用

  1. 磁粉の種類
    きず部の磁極に磁粉を吸着させ、模様として検出する必要があるため、使用する磁粉はきず部の微弱磁界で容易に磁化され、磁極に吸引され易いこと、すなわち吸着性能が優れていることが必要です。また、形成された磁粉模様は識別性の高いことが要求されます。 一般に磁粉探傷で使用される磁粉には可視光下で使用する白、黒、赤など普通磁粉、蛍光発光を利用する蛍光磁粉があります。また、磁粉を適用する場合に粉体のまま使用する乾式磁粉と水や油に分散させて使用する湿式磁粉があります。
  2. 磁粉の適用時期
    試験体への磁粉の適用時期は磁化電流を流しながら磁粉を適用する連続法と磁化電流を切った状態すなわち試験体の残留磁気を利用する残留法の二つの方法があります。

(4)観察
きず部に付着した磁粉模様を観察するにはできるだけ見やすい環境で行う必要があります。普通磁粉の場合はなるべく明るい場所で観察した方が見やすいですし、蛍光磁粉の場合は紫外線照射灯を用いるため周囲をできるだけ暗くする方が見やすいとされています。

(5)後処理
磁粉探傷が終わった試験体はそのまま製品となる場合や、加工工程に送られ機械加工などを受ける場合があります。そのため必要に応じて脱磁、磁粉の除去、防錆処理などの後処理を行うことが必要です。